【博多店】嘘がない世界
昔々のとある国のお話です。
家来に騙されてしまった、とある国の王様は思いました。
本当に信頼できるものだけを家来にしたいと。
そしてそのような人を見極めるために考えついたのが、
本当のことしか言えない国にすれば良いということです。
王様は魔女に頼みこの国の領地の中では、
嘘をつけなくなるような魔法をかけてもらいました。
その結果どうなったか。
王様は思惑通り心から王様のことを慕う人間のみを家来にすることができました。
しかしその一方で、各所で喧嘩が勃発するようになったのです。
本当のことしか口にできないため、
それまでは心の奥底で止めていた悪口なども面と向かって言ってしまうのです。
やがて国民は誰も口を開くことがなくなってしまいました。
相手の本心を知るためにかけた魔法が逆に相手の心を閉ざしてしまったのです。
嘘がない世界というのは素晴らしいことのように思いますが、
このように余計な争いを生む原因にもなってしまうわけであります。
ですから時には嘘をつくことも必要なわけですね。
しかしですよ。
それでも許せないことはあるわけですね。
たとえばこれです。
この“ゆず七味”。
一見すると特に何の問題もないように思えます。
ところが裏面を見てみましょう。
原材料名のところに4つしか記載がありません。
「これ七味じゃなくて四味じゃん!!!」
と突っ込みたいわけであります。
はらわたが煮えくり返る思いであります。
そんな私を人間不信に突き落としたこの商品ではありますが、
少し冷静になってどうしてこのような嘘をついたのか考えました。
前述した通り嘘は必ずしも悪ではないため、
そこに正当な理由があれば許されると私は考えております。
というわけでとりあえず口にしてみたのですが、
そこで神様からの啓示が舞い降りたかのごとく私の身体にビリビリと電撃が走りました。
これには思わず咳き込んでしまいました。
辛いので当たり前ですね。
冗談は置いておいて実際に口にしてみてわかったことは、
この“ゆず七味”はあまりにも完成された味だったのです。
本来ならば七味は七つの薬味や香辛料が絶妙なハーモニーを奏でることにより、
最高の味を演出します。
しかしながらこの“ゆず七味”は、
4つの材料だけで通常の七味、いや、それ以上の味を演出することに成功したのです。
しかしここで開発者は頭を抱えることになります。
元は七つの材料を用いて作る予定だったこの“ゆず七味”に、
これ以上なにかを加えたらそれはもう蛇足になってしまい美味しさを損なうと。
それならば“ゆず四味”という名前で販売をしようとはもちろん考えたかと思います。
ところが“四”という数字はご存じの通りあまり縁起の良い数字ではありません。
そこで開発者は消費者に嘘を吐くことになってしまうけれど、
断腸の思いでこの商品名を“ゆず七味”にしたのです。
そんな開発者の想いが詰まった既存の七味とはひとあじ違う、
ゆずの豊かな風味が漂う七味をぜひ皆さんもご賞味ください。
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